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異星人の郷

SFらしさもあまり無く、重量感たっぷりの内容で密度が高いので、冒頭は読み進めるのが大変だった。のだが、作り込まれた世界観も、丁寧な考察の上に成り立つストーリーも、それぞれ素晴らしく、読み進めるほど面白くなる。

特に、主な舞台となる中世の世界観が、自分はその辺の事に疎いので解らないのだけれど描かれている通りだ(或いは割と近い)とするならば、確かに技術も知識も現代に比較して少ないかもしれないけれど、極めて論理的で理性的な思考体系がそこにあったということを示していて、恐ろしくなった。現代のほうがずっと野蛮なのでは無いだろうか。いや、ファーストコンタクトものなのだけれど、どちらかと言うと「中世の人間の反応シミュレーション」が真に迫っている。

「現代」パートの謎解きが、もっとわくわくするものであっても良かったとは思う。あとがきを読む限り、もともと「現代」パートがあってそれを長編化したようで、確かに「現代」パートだけを読むことを考えれば、その部分の完成度は高いように見える。しかし、付け加わったのだろう「中世」パートがあまりにも作り込まれているので、「現代」パートが軽くなってしまったように感じた。パートを混ぜて挿入するよりも、別々に読んだほうが良いかもしれない。

異星人の郷 上 (創元SF文庫)異星人の郷 下 (創元SF文庫)