ブラインドサイト

ある種のファーストコンタクトものだが、「ある種」とは「ソラリス」の類である。

 
そもそも我々の想像する「生命」は、大抵が液体の水ベースなので、そうするとそういうものが安定して存在しうる環境は限られるだろう。ただ、「生命」や「知性」などの定義は曖昧で、しかも自分たちのことしか知らない我々が勝手に定義したってさほどの意味はないので、それらが「物質」と連続して存在しても何らおかしくない。そうすると全く想定外の環境で全く想定外のプロセスによるもの、は普通にあり得るだろうから、現実のファーストコンタクトは、「その種」である可能性が高いのではないかな、などとは思う。
 
こういう、ちょっと変わったファーストコンタクトものは、環境の設定とか生命プロセスの設定などが面白いので楽しめる。
 
前置きはこんな感じで、ブラインドサイトはそういう方向ではある。しかし、テーマはファーストコンタクトではなくて「意識」で、それが何のために存在するのか、あるいはただの無駄なのか、というあたりにフォーカスする。
 
ややプロセスについて恣意的すぎるかなと思える部分もある、例えば…と行きたくなるが、多分これは罠である。読者を(例えば反論を)考えさせられる状況に追いやってくるので、読み終わってしばらく経って距離が取れれば、まんまと乗せられた感がある。
 
テーマはすごく面白いし、ストーリー外にまで目が向いて、よくできていると思う。
 

ブラインドサイト〈上〉 (創元SF文庫)

ブラインドサイト〈下〉 (創元SF文庫)