全滅領域、監視機構、世界受容

自分はだいたい、本屋で裏のあらすじを読んで、気になったら読む方式で、これもたまたま読んだ。SF方向だと思ったのだが、あっち系ホラーの様相が強く、読み出しでずっこけたが、あっち系ホラーもSFと近縁種とは言えるし、読み始めた以上ということで、全部読みました。

進み過ぎた科学は魔法と区別がつかない、を下から眺めたような状態で、見事に打つ手がない。個人的には、作中世界の皆様にはもうちょいやる気を出してほしい、という感想です。

これ、映画化するらしい。大丈夫なんだろうか。まあ状況だけ描いても十分おどろおどろしい気はするけど、視点人物による主観的内容だからこその部分があるようにも感じる。小説だからこその部分がある作品かもしれない。映像でキチンと締められるのかある種見もののような…。

全滅領域 (サザーン・リーチ1)監視機構 (サザーン・リーチ2)世界受容 サザーン・リーチ


リライト、リビジョン、リアクト、リライブ

個人的にはいまひとつだった。

リライトは、いろいろ謎を残しつつ気を引いたのだが、全体を通すと、何か言い訳じみたものを感じてしまう。緻密という評判ではあるのだが、むしろツッコミどころが多いような。一方で矛盾をはらんでも走り切れるほどには、ストーリーの勢いが感じられなかった。初速は良さそうだっただけに…と思ってしまう。

という評価なのは、ハードSF的解釈を適用した部分がたぶんに含まれているからで、それは先に前評判を読んでしまったからだとも思う(Amazonのオススメだったからうっかり…)。先に評価を見てしまうとかは、なんとも失礼なことをした。

リライト (ハヤカワ文庫JA)リビジョン (ハヤカワ文庫JA)リアクト (ハヤカワ文庫JA)リライブ (ハヤカワ文庫JA)


年刊日本SF傑作選2014 折り紙衛星の伝説

去年のを飛ばして(下書きに残ってるが)今年のを。

もともと私は海外翻訳SFばっかり読んでいて、ちょうど傑作選が出るようになった頃に日本の人のものも読むようになった。当時は自分にとって新鮮だったし、球数が今より少なかったためなのか玉石混交に感じていて、それが楽しかった記憶がある。

去年もそう思ったのだけれど、ここ最近、平均的にキチンとした感じのものが増えたと思う。収録作に困らないんだから誰が読んでもそれなりのものを入れるのが傑作選だろう。

とはいえ、何故これが傑作か、みたいなのが混じってると楽しいのも事実だと思う。円城塔のイタズラとか、宮内悠介のイタズラとか。

と書いていて、今はイタズラみたいなのが読みたい気分なんだなと思った。それはともかく。

総当たりで読むタイプではないので、傑作選はありがたい。ただ新規開拓ができるという意味では、今回はやや落ち着いてしまっている感があった。

来年も楽しみにしています。

折り紙衛星の伝説 (年刊日本SF傑作選) (創元SF文庫)